ゴスペルと聞くと、黒人が教会において大勢で手を叩きながら歌っているイメージを持っている方が多いと思います。しかもその声量は非常に大きなものが思い浮かぶのではないでしょうか。また同じ教会で歌うものに讃美歌がありますが、讃美歌とは違いリズミカルでありステップを踏みながら躍動的に歌うパワフルさも思い浮かばれます。
ゴスペル音楽は、黒人霊歌と言われ、日本語ではゴスペルは福音と訳されます。17世紀・18世紀、アメリカに奴隷制度が存在した時代に、奴隷として強制的に連れられてこられたアフリカ人が、苦しい生活の中で夜中に建物も無い「教会」に集まり、神への賛美、救いを求めて歌ったものがゴスペルのルーツと言われています。大統領のリンカーンが奴隷解放宣言を発した後も、黒人たちへの人種差別は激しく、そんな中でゴスペル文化は発展し続けてきました。
そんなゴスペルミュージックが日本において認知度が高くなったのは、やはり映画の「天使にラブソングを」の影響が大きいでしょう。映画の中で歌われた「Oh Happy Day」は多くの人に親しまれ、ゴスペルソングというと思い出す人も多いのではないでしょうか。
日本では「ゴスペラーズ」や「綾戸智絵さん」などがゴスペル音楽を歌うミュージシャンとして有名ですが、日本のゴスペルシンガーとして第一人者と言われているのが「BIG MAMA YUKA」こと亀渕有香さんです。
その他にも、ゴスペルの曲として「スリー・ドッグ・ナイト」というアメリカのバンドが1971年にリリースした「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド(邦題:喜びの世界)」や「ジョン・レノン」が1971年にリリースした「パワー・トゥ・ザ・ピープル(邦題:人々に勇気を)」なども歌われております。曲名を聞いただけでも、ゴスペルソングに相通じるものを感じます。
その他にも、アフリカの飢餓問題へのキャンペーンソング「ウィ・アー・ザ・ワールド」や、ハイチ地震の被災者支援のための「ウィ・アー・ザ・ワールド:25」、イギリスの大型船の転覆による遺族支援に歌われたビートルズの名曲「レット・イット・ビー」なども、ゴスペル風にアレンジされた曲と言えます。実際にそれらの曲のミュージックビデオを見てみると、曲の最後には、参加したミュージシャンが全員で、手拍子をしながら合唱する様子はゴスペルさながらです。
「ゴスペルミュージックとはどんなものだろう?」と「難しそう」などと感じている人は、このような曲から聞き始めてみるのも良いのではないでしょうか。