アメリカの黒人奴隷の宗教音楽をルーツとする「ゴスペル」は、最近では日本でも、クリスマスの時期などに歌われるようになりました。日本各地で、ゴスペルのサークルが広がるなど、ゴスペルは人気の音楽ジャンルのひとつともなっています。ゴスペルの有名曲といえば、ベートーベンの交響曲に歌詞をつけた「ジョイフルジョイフル」や、喜びを歌った「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」、労働者に革命を呼びかける「パワートゥザピープル」などが知られています。これらのゴスペルの曲は、CDなどでヒットしただけでなく、映画や舞台の挿入歌にもなっているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。テレビのCMで取り上げられることも少なくありません。ゴスペルの歌声が特徴的なのは、ゴスペルを歌いはじめた黒人奴隷たちが、十分な楽器を持っていなかったためです。もともと、黒人奴隷たちは、アフリカから農園の労働力などとして、アメリカにつれられてきました。当時の黒人奴隷たちには自由が与えられていませんでした。黒人奴隷の多くは、過酷な待遇を受けることとなり、厳しい農園労働に従事するしかありませんでした。そこで黒人奴隷たちは、主人から隠れて、自分たちだけで教会で歌うようになります。祈りの歌であるゴスペルは、聖書の言葉に歌詞がつけられるようになりました。黒人奴隷たちの出身地であるアフリカにルーツをもっているため、独特のハーモニーや即興性などに特徴があります。黒人たちはゴスペルを歌うことで、奴隷制から早く解放されることを祈りました。黒人奴隷たちの祈りの歌であったゴスペルは、現代まで歌い継がれてきたのです。ゴスペルには、長い歴史が影響しているのです。ゴスペルは現代まで、ブルースやソウルミュージックなど多大な影響をもたらしました。日本でも、最近、ゴスペルの歌唱が人気となっています。ゴスペルはアカペラを中心としていたこともあって、一体感を味わうことができるのも大きな魅力です。