魂の叫び、ゴスペルの歴史

ゴスペルは、ゴッドスペルを略した言葉で、日本では「福音」、「良い知らせ」という意味となります。ゴスペルは「神の言葉」、聖書に深く関わりがあります。

ゴスペルミュージックを形作る聖書は、ゴスペルの歴史にも重要な意味があるのです。ゴスペルの始まりは、17世紀にアメリカに強制連行されたアフリカ人によるものでした。

奴隷として連れてこられたアフリカ人たちは、畑作業や家事の手伝いなどをしながら、人間として扱われないような奴隷小屋での生活を余儀なくされました。そんな過酷な生活の中で、心のよりどころとして歌われるようになったのが、「The Sprituals(黒人霊歌)」と呼ばれる音楽です。

アフリカ人たちは、奴隷主たちの家から遠く離れた場所で、夜遅くになってから集まるようになります。それが、「Hush Harbo(見えない教会)」という場所でした。

そこで聖書の言葉を元に、奴隷生活を送る上での様々な辛い感情、そして、明日への希望、魂の叫び、解放をのせて歌い踊り続けたのです。ただ、アメリカの言葉を読み書きできないアフリカ人がなぜ、聖書の言葉を理解するようになったのでしょうか?

それは、奴隷主たちがもっと従順に働かせるよう、聖書の言葉を教えられたといいます。ただ、読み書きは教えられなかったため、歌うことで覚えていったそうです。

この黒人霊歌が、ゴスペルの源流となりました。その後、黒人霊歌はアフリカ人たちによって大陸中に広まっていきます。その中でも転機になるのが、黒人学校Fisk Schoolによる公演です。

最初はあまり正しくは受け入れられなかったものの、公演を重ねるうちに、アメリカ全土、そしてヨーロッパまで羽ばたいていきました。そして、1930年代にはこの黒人霊歌に、ブルース界のミュージシャンによってブルースの要素が加わり、ゴスペルと呼ばれるようになったのです。

彼は作曲も手がけ、新たに生まれ変わったゴスペルは、幅広く広まっていきました。その後も形を変えてゴスペルは広まっていきましたが、ゴスペルを歌う上で、アフリカ人たちの歴史も踏まえながら、心からの魂の叫びを歌い踊っていきたいですね。

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