現代にゴスペルを歌う意味とは

ゴスペルとは新約聖書に収められた4つの福音書を意味する言葉で、キリスト教プロテスタント系の宗教音楽のことを言います。

4つの福音書とはマタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書です。ゴスペルは奴隷として連行されたアフリカ人がキリスト教と出会い、救いの心を歌ったことから生まれた音楽です。

言語や宗教を制限された中で神の救いを求める歌として、ゴスペルを歌うことを彼らは心のよりどころとしていました。ゴスペルはヨーロッパの宗教音楽と、アフリカ特有のリズムが合わさった曲で、黒人霊歌とも呼ばれており、現在のジャズやロックへの重要な架け橋となる音楽です。アカペラでビートを取りながら歌われる曲が多く、ゴスペルといえばアカペラと思われる方も多くいますが、正しい意味としては宗教音楽の中でアフリカのビートがあるものとされています。代表的な作品として誰もが知っている曲はアメイジング・グレイスですが、この曲も読み解いていくと神の救いが永久に続くと書かれています。アメイジング・グレイスの作曲者ジョン・ニュートンはアメリカ人で、親子代々奴隷貿易を行っていましたが、22歳の時に指揮をとっていた奴隷貿易船が嵐に飲み込まれそうになり、ジョンは神への救いを求めました。彼の船は奇跡的に助かりましたが、それ以来奴隷貿易の意味を考えるようになり、30歳の頃には病気で船を降りることになります。彼は牧師となり、その頃から奴隷貿易反対運動をするようになりました。47歳でアメイジング・グレイスを作曲し、この曲をもって奴隷についての意味を世界へ伝えていったのです。ゴスペルを歌うということは、過去に実際にあった奴隷制度についての関心を深め、彼らの訴えを知っていく必要があります。楽しく歌うだけではなく、彼らが歌った底知れぬパワーを感じ取り、美しいハーモニーと強いビートにのせて音楽を構築していきましょう。また、ゴスペルはビートにのせ、自由に音楽を展開していくことができます。その時にしかできないオリジナルの音楽をメンバーで作っていくことで、より強い絆を結ぶことをゴスペルから感じ取ることができます。

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