知らない人でも馴染みのありそうなゴスペルの名曲

ゴスペルは、かつては教会などで黒人達に歌われてきたジャンルの音楽です。
アフリカ系民族の音楽性と、キリスト教の讃美歌とが融合したことで誕生したゴスペルは、主に黒人達の間で歌われてきたものです。
特徴としては、宗教的な文言に独特の解釈の加わった歌詞と、手を叩いたりステップを踏むなどのリズム感溢れる歌い方がよく挙げられます。
日本では、映画『天使にラブソングを』をきっかけとしてゴスペルの存在が知られるようになり、現在では有名な音楽ジャンルのひとつとなっています。
ゴスペルの曲の中には、「え、これってゴスペルだったの?」と驚くようなものもいくつか存在します。
たとえば、『アメージング・グレイス』は、テレビのコマーシャルで使われたり、著名なアーティストがカバーを出すなど、日本で聴く機会の多い楽曲の一つです。
この曲は、敬虔なクリスチャンだったジョン・ニュートンが、自身の経験した出来事と、その時に感じた神への畏敬の念を歌詞にしたものと言われています。
伸びやかで落ち着きのあるメロディーと、覚えやすい歌詞の響きは、多くの人の記憶に留まっていることかと思いますが、ゴスペル曲ということを知っている人はそう多くないかもしれません。
また、ゴスペルは、現代音楽の作風にも大きな影響を及ぼしています。
ジョン・レノンの作曲で、とても活力と革命への意思にあふれた楽曲である『パワー・トゥ・ザ・ピープル』もそのひとつで、ゴスペルソングとして頻繁に歌われている曲です。
元々はゴスペルソングとして作られたわけではない楽曲ですが、シンプルなメッセージを反復するつくりや、力強いリズムとメロディーは、ゴスペルと大きく似通った特徴を持っています。
世の中を変えよう、立ち上がろうと呼びかけるその歌詞は、時代が流れ状況の変わった現代でも、人々を勇気づける名曲として歌い継がれています。
かつて窮屈な立場にあった黒人達が生んだ、自由への憧れや矜持を歌うゴスペルという名の音楽文化は、人種や国を飛び超えて、多くの人々の心に共鳴しているのです。

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